ホームスクール大全|日本での始め方・法律・費用・1日の学習設計
ホームスクールとは、家庭を拠点にして学ぶこと
ホームスクールとは、学校に通うかわりに、家庭を拠点にして学ぶことです。
ホームスクーリング、ホームエデュケーションと呼ばれることもありますが、中身はほぼ同じだと思ってもらって大丈夫です。
この記事は、その「やり方」をひととおり並べたものです。
法律のこと、在籍校への相談、1日の組み立て、お金の考え方。順番に見ていきます。
言葉の意味や歴史をもう少し詳しく知りたい方は、先に「ホームスクールとは?定義・歴史・日本の現状」を読んでもらうと、この先が読みやすくなりますね。
いま日本で選ぶ家庭が増えている理由
文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2025年10月公表)によると、小・中学校で学校に行っていない子どもは353,970人。
小学校が137,704人、中学校が216,266人で、12年続けて増えています。
数字だけ見ると重たい話に見えるかもしれません。
でも中身を読むと、少し違う景色が見えてきます。
同じ調査で文部科学省は、増加の背景として「休養の必要性を明示した法律の趣旨が浸透したこと」を挙げているんです。
つまり、無理をして通わせないという選び方が、ふつうになってきたということ。
家庭で学ぶという選択肢が、その受け皿のひとつとして現実味を持ちはじめました。
日本でホームスクールは違法ではありません
いちばん多い不安から先に片づけますね。
日本に、ホームスクールそのものを罰する法律はありません。
学校教育法第17条が保護者に定めているのは「就学させる義務」ですが、これが求めているのは子どもに教育を受けさせることであって、毎日校舎に足を運ばせることそのものではありません。
さらに2017年2月、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)が施行されました。
学校に戻ることだけがゴールではない、と国がはっきり示した法律です。
ここは1本の記事にまとめてあるので、心配な方はこちらを読んでください。→「日本でホームスクールは違法?就学義務と教育機会確保法をやさしく解説」
ホームスクールの始め方——5つのステップ
ここからが本題です。
①まず、家族で話す
意外に飛ばされがちなのが、ここ。
お母さんだけが決めて動き出すと、あとでご主人やおじいちゃん・おばあちゃんとの間でもう一度ぶつかります。
そこで消耗する家庭を、僕は何度も見てきました。
決めるのは大きな方針だけで大丈夫です。
「学校に戻すことを今のゴールにしない」「そのかわり、家で学びは続ける」。この2つが家族の中で揃っていれば、あとの手順はぜんぶ後から直せます。
②在籍校に「相談」する。報告ではなく相談
学籍は在籍校に置いたままの家庭がほとんどです。退学や転校の手続きが自動的に発生するわけではありません。
大事なのは、黙って離れないこと。
同じ「学校に行かない」でも、何も伝えずに済ませるのと、事情を共有したうえで家庭での学びを選ぶのとでは、そのあとの関係のつくりやすさがまるで違います。
それに、文部科学省の通知にもとづく「出席扱い」の仕組みを使う場合、学校との対話が前提になります。
まず担任の先生やスクールカウンセラーに、家でどんな学び方をするつもりかを話すところから始めてください。
③学びの柱を、3つだけ決める
学校の時間割をそのまま家に持ち込もうとすると、まず続きません。
僕がおすすめしているのは、柱を3つに絞ることです。
- 読む力(国語・読書)
- 数の力(算数・数学)
- 好きなこと(その子が勝手に時間を使ってしまうもの)
前の2つは、あとで学校に戻るにしても、戻らないにしても、いちばん潰しが効きます。
3つ目は、おまけではありません。
うちに来る親御さんは、最初はたいてい「せめて分数くらいは……」とおっしゃいます。小さな願いです。
でも実際に伸びはじめるきっかけになるのは、その子が勝手にやっている3つ目のほうだったりするんですよね。
④1日のリズムを先に決める
「何を勉強するか」より先に、「いつ机に向かうか」を決めます。
家庭学習でいちばん崩れやすいのは、内容ではなく時間だからです。
朝起きる時刻と、机に向かう時間帯。この2つだけ固定して、あとはゆるく組んでください。
最初から1日6時間を目指さないこと。30分から始めて構いません。
⑤記録を残す
その日に何をどれだけやったかを、簡単でいいので残しておきます。ノートでもアプリでも構いません。
理由は2つあります。
1つは、出席扱いの相談をするときに、学校へ見せられる材料になること。
もう1つは、親自身が不安になった夜に、これだけやってきたと確認できる場所になること。
正直、2つ目のほうが効きます。
ホームスクールの1日——実際の組み立て方
ひとつの例として、午前を学び、午後を自由にする形を挙げておきます。
- 9:00 起きる・朝ごはん
- 10:00〜10:30 読む(音読でも読書でもいい)
- 10:40〜11:10 算数・数学
- 11:10〜12:00 好きなことの時間
- 午後 自由。外に出る、人と会う、続きをやる
ポイントは、午前に「学びの型」を置いて、午後を空けておくことです。
午後を空けておくと、体調の波にも、その日の気分にも対応できます。
逆に1日を隙間なく埋めると、1回崩れただけで全部が崩れた気持ちになってしまう。
それから、週に1度でいいので、家族以外の誰かと話す時間をつくってください。
家庭で学ぶときにいちばん抜けやすいのは、勉強量ではなく、人とのつながりのほうです。
ホームスクールにかかるお金の考え方
金額の相場を書きたいところですが、選ぶ組み合わせで大きく変わるので、ここでは具体的な数字を出しません。
かわりに、費用が発生する場所を4つに分けておきます。
- 教材費——市販の問題集・参考書。いちばん安く済むところ
- オンライン教材・学習アプリ——月額制が中心。一人で続けられる子には強い
- 人がつく学び——家庭教師、オンライン個別指導、オンラインの教室。続かない子ほどここが効く
- 居場所——フリースクールなど。通学の距離と時間も、実質のコストとして数えてください
見落とされがちなのは、お金以外のコストです。
送り迎えの時間、親が横についている時間、そして「今日はやらせるべきか」と毎日迷う心の消耗。
ここが一番重い、という声をよく聞きます。
家庭で全部を抱えないこと。3番のような外の手を1つ入れるだけで、親の負担がはっきり軽くなる家庭は多いです。
つまずきやすい3つのこと
1対1の指導だけで5,000時間以上、子どもたちと向き合ってきました。
その中で、ほとんどの家庭が同じ場所でつまずきます。
1つ目は、学校の進度に追いつこうとすること。
追いつこうとすると、いま分かっていないところを飛ばすことになります。飛ばした穴は、あとで必ず戻ってきます。
急がば回れで、分からなくなった地点まで戻ったほうが、結局は速いんです。
2つ目は、変化を大きく期待すること。
家で学びはじめた子の変化は、静かに起きます。
画面の向こうで小さく頷くようになる。口元がゆるむ回数が増える。声が少し大きくなる。派手なことは何も起きません。
でも、その小さなサインの積み重ねが、その子が自分のペースを取り戻していく過程そのものなんですよね。
3つ目は、親が一人で判断し続けること。
これがいちばん多い。学校に戻すべきか、このままでいいのか、教材はこれで合っているのか。
毎日ぜんぶ自分で決めていると、判断そのものに疲れてしまいます。
伸びない原因を、お子さんのせいにも、お母さんのせいにもしないでください。だいたいは、やり方が今の状態に合っていないだけです。
よくある質問
Q1. ホームスクールを始めたら、学校をやめることになりますか?
なりません。
学籍は在籍校に置いたまま、家庭での学びを選ぶ家庭がほとんどです。
退学や転校の手続きが自動的に発生するわけではありません。
Q2. 何歳から始められますか?
年齢の決まりはありません。
ただ、始める学年によって重点は変わります。
小学生のうちは読む力と数の力、中学生からは進路の選択肢を早めに一緒に調べておくことをおすすめしています。
Q3. 勉強を教える自信がありません。親が全部やらないとだめですか?
だめではありません。実際、親が教科を教えている家庭のほうが少数派です。
教材やオンラインの授業に任せられる部分は任せて、親は生活のリズムと記録だけを見る、という分担で回っている家庭が多いです。
Q4. 学校に戻りたくなったら、戻れますか?
戻れます。学籍が残っているので、手続きの上では席はそのままです。
戻る・戻らないを最初に決めておく必要はありません。
Q5. 家にずっといて、友だちができないのが心配です。
これは正直、家庭だけでは解きにくい問題です。
オンラインの教室、地域の活動、習いごとなど、家の外と接点を持つ場を、勉強とは別枠で1つ確保しておくのがおすすめです。
まとめ
ホームスクールとは、学校に通うかわりに家庭を拠点にして学ぶことです。日本の法律で禁じられた選択肢ではありません。
始め方は5つ。家族で話す、在籍校に相談する、学びの柱を3つ決める、1日のリズムを決める、記録を残す。
全部を完璧にそろえてから始める必要はありません。
今日できるのは、たぶん最初の1つだけです。それで十分だと思います。
小学生のお子さんで、家に学びの場をつくりたい方は、学校に行かない小学生の、勉強がある居場所「コノハナ」もご覧ください。
お子さんの学び方について、誰かに話してみたくなったら、こちらからお気軽にご相談ください。
無料の個別相談で、その子に合った最初の一歩を一緒に考えますね。
この記事を書いた人
鈴木 裕人(Arist代表)
福岡の家庭教師・ホームスクール「Arist」代表。1対1指導5,000時間。学校に行かない小学生の、勉強がある居場所「コノハナ」主宰。プロフィールはこちら



