ホームスクールの1日|時間割は、作らなくていいんです
ホームスクールの1日とは、学校の時間割を家に移すことではなく、「起きる時刻」と「机に向かう時刻」の2つだけを決めて、残りをその子の調子に合わせて組んでいく毎日のことです。
決めるのは、2つの時刻だけ。そのかわり、その2つはなるべく動かさない。家で学ぶ1日を長く続けるには、これがいちばん崩れにくいやり方だと、僕は感じています。
ただし、昼夜逆転している子は例外です。その場合は、2つのうち「机に向かう時刻」の1つだけから始めます(下の例3)。
そもそもホームスクールとは何かは、ホームスクールとはに書きました。
小学校高学年の1日は、授業だけで約4時間20分あります
小学4〜6年生の授業時間は、学校教育法施行規則で年間1,015単位時間(1単位時間=45分)が標準として定められています。学習指導要領では、これを年35週以上に分けて行うことになっています。
週にならすと約29コマ。1日あたりにすると、授業だけで約4時間20分です。低学年は、これよりもう少し短くなります。
中学校も年間1,015単位時間ですが、1コマが50分なので、1日あたり約4時間50分になります。
家で学びはじめたご家庭が最初にやりがちなのは、この4時間20分を家で再現しようとすることです。朝8時半に机に座らせて、45分ごとにチャイム代わりのタイマーを鳴らす。
これは、続かないことが多いです。
学校の時間割は、大勢の子どもを1人の先生が一度に見るために組まれた時間です。待つ時間、全員がそろうまでの時間、移動の時間が、最初から織り込まれています。
家で同じ枠を引き写すと、その「待つ時間」まで一緒に持ち込むことになります。
学校に行かなくて大丈夫かが気になる方は、日本でホームスクールは違法?もどうぞ。
決めるのは「起きる時刻」と「机に向かう時刻」だけ
家庭学習でいちばん崩れやすいのは、何を勉強するかではなく、いつやるかのほうです。
だから先に、時刻を2つだけ固定します。
起きる時刻は、睡眠時間から逆算する
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間の睡眠が目安とされています。
同じ学年でも、長めに眠らないと調子が出ない子はいます。そういう子に、学校の「朝7時起き」をそのまま当てはめれば、毎日ずれていくのは無理もないことです。
起きる時刻は、親の希望からではなく、その子が必要としている睡眠から逆算してください。夜10時に寝て10時間眠る子なら、起きるのは朝8時です。
机に向かう時刻は、「起きてから何分後」で決める
もう1つの時刻は、時計の時刻ではなく、起きてから何分後かで決めると崩れにくくなります。
「10時から勉強」と決めると、9時半に起きた日は30分しかなく、10時半に起きた日は始まる前から遅れたことになってしまいます。
「起きて1時間後に机に向かう」なら、起きた時刻がずれた日も、その日の中で取り戻せます。
1日の組み立て例を3つ
どれも、家の事情に合わせて崩して使ってください。くわしい始め方は、ホームスクール大全にまとめています。
例1:小学生・朝から動ける子
- 8:00 起きる・朝ごはん
- 9:00〜9:20 読む(音読でも読書でもいい)
- 9:20〜9:30 休む
- 9:30〜9:50 算数
- 10:00〜12:00 好きなこと
- 午後 自由。外に出る、人と会う、続きをやる
学ぶ時間は、午前の40分だけです。
最初の1か月は、ここから始めて構いません。毎日同じ時刻に机に向かえた、という事実のほうが、40分の中身より先に効いてくることが多いからです。
例2:中学生・自分で進められる子
- 8:00 起きる
- 9:00〜10:30 2教科(45分×2。間に休憩)
- 10:30〜12:00 本を読む・調べもの
- 午後 好きなこと・外の予定
- 夕方に20分 その日やったところを、もう一度だけ見る
ポイントは夕方の20分です。新しいことを足す時間ではなく、その日にやったところを、もう一度だけ見る時間にします。
例3:昼夜逆転している子
- 起きた時刻 起きる(何時でもいい。責めない)。明るい時間なら、カーテンを開けて外の光を浴びる
- 起きて1時間後 机に向かう。15分だけ
- その後 好きなこと
- 寝る前 明日起きたい時刻を、本人が決める
昼と夜が入れ替わった生活をしている子は、少なくありません。この状態で「明日から朝8時に起きなさい」と言っても、まず通りません。
だからこの例では、起きる時刻を決めません。かわりに「起きて1時間後に、15分だけ机に向かう」ことだけを守ります。時計がずれていても、1日の中の順番は崩れにくくなります。
ひとつだけ、毎日やってほしいことがあります。明るい時間に起きた日は、まずカーテンを開けて外の光を浴びる。夕方以降に起きた日は、寝る前の明かりと画面を少し控えめにする。それだけです。
起きる時刻を戻すのは、そのあとです。寝る前に「明日は何時に起きたいか」を本人に決めてもらって、少しずつ前に寄せていきます。
⚠ 朝どうしても起きられない状態が何週間も続く、頭痛やめまい・腹痛を訴える、気分の落ち込みが強い——そういうときは、生活の工夫だけで何とかしようとせず、まず小児科(かかりつけ医)で相談してください。体の不調が隠れていることがあります。
親が日中いない家庭の1日
共働きで、日中は家に大人がいない。そういうご家庭も少なくありません。
まず、低学年の子を日中ひとりにしない手立て(祖父母、ファミリー・サポート、地域の預かりや居場所)を、学びより先に決めてください。オンラインで顔を合わせる時間は、その補いです。
そのうえで、学びのほうは、朝に「今日の1枚」を机に置いてから家を出る形が回りやすいです。
その日にやるプリント1枚、本の1章、問題3問。量は小さく、ゴールが見える形にしておきます。夜は、できたかどうかではなく、何をやったかを一緒に1行だけ書いてください。
ここで気をつけたいのは、親が教える役まで1人で抱えることです。夜の時間が、いつのまにか答え合わせとお説教の時間になってしまう。そうなると、親子のどちらもしんどくなります。
教える役のほうは、外の手を1つ入れて分けてしまったほうが、長く続けやすくなります。外の手を入れる判断の材料は、ホームスクールのメリット・デメリットにまとめました。
Q. 1日に何時間勉強すればいいですか?
最初は1日30分からで構いません。
学校の授業時間(小学校高学年で1日約4時間20分)を目安にする必要はありません。最初の1か月で見るのは時間の長さではなく、同じ時刻に机に向かえた日が何日あったかです。
続く日が増えてきたら、15分ずつ足していってください。
Q. 昼夜逆転していても、ホームスクールは始められますか?
始められます。
上の例3のように、時計の時刻ではなく「起きてから何分後」で学ぶ時間を決めれば、昼夜逆転したままでも、1日の中に学ぶ時間をつくることはできます。
生活リズムを戻すことと、学びを始めることは、同時にやらなくていいんです。先に学びを小さく始めて、リズムはあとから寄せていく。
ただ、朝起きられない状態が長く続く、体の不調を訴える、というときは、まず小児科(かかりつけ医)で相談してください。
Q. 予定どおりにいかなかった日は、どうすればいいですか?
その日は、それで終わりにしてください。
翌日に2日分を取り返そうとすると、取り返せなかった分が積み上がって、机に向かうこと自体がつらくなります。
家で学びはじめた子の変化は、静かに起きます。昨日より少し早く机に座れた。音読の声が少し大きくなった。そういう小さなサインのほうを、記録に残していってください。
うちの場合
Aristでは、学校に行かない小学生のためのオンライン教室「コノハナ」をやっています。国語と算数を、週2回、各1時間だけ。決まった曜日の決まった時刻に始まるので、1週間の中に「この時間は机に向かう」という柱が2本立ちます。
行かない日も、学びは止まらない。それだけを続けるための、小さい形です。
まずは無料の説明会で、いまの1日の過ごし方を聞かせてください。
中学生のお子さんの場合は、教室ではなく別の形をご案内しています。無料の個別相談から、いまの1日の組み立てを一緒に見てみましょう。
学校に通えない状態から家で学ぶ形へ移るときの考え方は、不登校からホームスクールへにまとめています。
この記事を書いた人
鈴木 裕人(Arist代表)
福岡の家庭教師・ホームスクール「Arist」代表。1対1指導5,000時間。学校に行かない小学生の、勉強がある居場所「コノハナ」主宰。プロフィールはこちら



